label

映画『平場の月』

11月14日(金) 公開

堺雅人 井川遥 中村ゆり でんでん 吉瀬美智子 宇野祥平 吉岡睦雄 坂元愛登 一色香澄 / 大森南朋 原作:朝倉かすみ『平場の月』(光文社刊) 監督:土井裕泰(『花束みたいな恋をした』『罪の声』『ビリギャル』) 脚本:向井康介(『ある男』)

label
label
INTRODUCTION イントロダクション
朝倉かすみによる「平場の月」(光文社文庫)は、2018年の刊行以来、発行部数20万部を突破。男女の心の機微を繊細に描き、各紙書評で絶賛されるとともに、第32回山本周五郎賞を受賞しました。
物語は、中学時代の初恋の相手同士である男女が、時を経て再会し、惹かれ合う姿を描いています。互いに独り身となり、様々な人生経験を積んだ二人が意気投合し、離れていた時間を埋めるように心を通わせていく展開は、「これまでにない大人の恋愛小説」として話題を呼びました。
発売当初から映像化の要望が多数寄せられ、30社以上からのオファーを経て、今回、満を持して映画化が実現しました。

主人公・青砥健将(あおと けんしょう)を演じるのは堺雅人。「半沢直樹」(2013年、2020年)、「真田丸」(2016年)、「VIVANT」(2023年) など、その年を代表する連続ドラマで主演を務め、圧倒的な演技力で役を演じ切ってきました。映画主演は、『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年) 以来、8年ぶりとなります。
妻と別れ、地元に戻り印刷会社に再就職。平穏な生活を送る主人公・青砥を、堺雅人が演じます。近年、強烈なキャラクターを演じることが多かった堺ですが、本作では一転、等身大の実年男性を演じています。
原作を何度も読み返したという堺は、長いキャリアの中で現代劇においてラブストーリーの主演は初となります。

その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(すどう ようこ)を演じるのは、堺とは「半沢直樹」(2020 年)以来の共演となる井川遥。幼少期の両親の不和、自分自身も夫との死別など、辛い過去を抱えながらも、パートで生計を立てながら慎ましく生きる、芯の強さと同時に、どこか儚く、切なさを感じさせる女性を演じます。

監督は土井裕泰。土井監督は、『いま、会いにゆきます』(2004年)、『ハナミズキ』(2010年)など恋愛ドラマの名手として知られ、『花束みたいな恋をした』(2021年)では、等身大の若者の出会い、恋愛、そして別れまでを丁寧に描き、興行収入38億円の大ヒットを記録しました。今作では、15歳の瑞々しい初恋と大人のリアルな恋愛を描き出します。
その一方で、『麒麟の翼~劇場版・新参者~』(2012年)、『罪の声』(2020年)、『片思い世界』(2025年)といった濃厚な人間ドラマも得意としており、本作でも恋情と友情の間を行き来する絶妙な距離感を演出し、その手腕を存分に発揮しています。
堺雅人とのタッグは初めてとなります。土井監督の恋愛映画に新たなエッセンスが加わることで、どのような作品が生み出されるのか、注目が集まります。

脚本は、『ある男』(2022年)で第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第44回ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞した向井康介。原作では断片的な回想として描かれていた中学時代の初恋の記憶を、映画ではさらに掘り下げ、繊細に綴りました。今年は、本作のほか3月公開『悪い夏』、10月公開予定『愚か者の身分』の脚本も手掛けています。

原作発表時には、朝霞市、新座市、志木市など埼玉県内の実在の地名や店舗が多数登場し話題となりました。今回の映画でも、同市内を中心にロケーション撮影を実施。リアルな恋物語を色彩豊かに彩っています。

※本作には、自転車を二人乗りするシーンがありますが、演出上、危険のない場所で安全に配慮して特別に撮影を行っております。
label
STORY ストーリー
妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、
慎ましく、平穏に日々を生活する、
主人公・青砥健将(あおと けんしょう)
その青砥が中学生時代に
想いを寄せていた須藤葉子(すどう ようこ)は、
夫と死別し今はパートで生計を立てている。
お互いに独り身となり、
様々な人生経験を積んだ二人は意気投合し、
中学生以来、離れていた時を埋めていく――
ある日、
アパートの部屋から月を眺めていた須藤。
「お前、あのとき何考えてたの?」
青砥にそう問われ、
「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」
そう答えた須藤。
再び、自然に惹かれ合うようになった二人。
やがて未来のことも話すようになるのだが・・・。
label
COMMENT コメント
雅人(青砥健将)
青砥役のオファーをいただき、原作を読みましたが、原作小説の世界が素晴らしく、豊かなので、ぐいぐいと引き込まれ、何度も何度も読み返しました。今回、原作に登場する場所で撮影し、いち原作ファンとしては聖地巡りのような、本当に夢のような日々が始まったなと感じています。
僕が演じる青砥は井川さん演じる須藤あっての青砥だと思っています。撮影が始まり、役としての井川さんと出会って、須藤の横にずっといたいなという気持ちが強くなりました。また、土井監督は大学の演劇研究会の先輩にあたり、ずっとご一緒したかったので、今回念願叶ってとなります。土井監督は物腰が柔らかく、丁寧に説明してくださり、役者が伸び伸びと動けるようにしてくださる印象です。これから撮影が続きますので、監督のおっしゃった通りに動きたいと思っています。
川遥(須藤葉子)
須藤は青砥と再会したことによって、そこから慎ましやかだけれども気持ちが少しずつ膨らんでいく。この2人を応援したくなりました。私自身、この年齢になったからこそわかる気持ちが原作の中に溢れていて、温かさや切なさも同時にあるこの本を愛おしく感じました。
今回、私が演じる須藤は自分の弱さを見せまい、寄り掛かることをよしとしない覚悟を持って生きている人です。須藤の芯の強さ、意地らしさ、今ささやかな幸せを噛みしめている感じ、それら彼女の持っているものを大切に演じたいと思いました。堺さんは懐が深く、温かくて包み込んでくれるような方です。年齢を重ねてまたご一緒できること楽しみにしていました。土井監督とは今回2作目になりますが、大変嬉しく思っています。その役の持っているもの、滲み出てくるものなど丁寧に教えてくださるので、監督についていきたいと思います。
原作者:倉かすみ
「平場の月」(光文社文庫)著:朝倉 かすみ
「平場の月」はわたしにとって初めての映像化作品になります。
もちろん映像化というものへの関心はありました。それは著作が異なるメディアで展開されるのを観てみたい、という圧倒的なミーハー魂と、わたしがひとりで書いたものを、わたしではない人たちがチームを組んで表現したらどんなふうになるのだろう、という純然たる好奇心の混ざり合ったものでした。
ミーハー魂は、「ピッタリ!」のキャストやスタッフを妄想させ、好奇心は、わたしが紙やモニタなどの平面に文字で描いたシーンが立体となったときの驚きや喜びを想像させました。シーンといっても具体的なものではなく、わたしが書くときに大事にしている三つ(ディティールと、実感と、イノセンス)が感じられるかどうかがポイントでした。
そんな我儘すぎるあれこれが、どんどん「ほんとう」に—それはもう思った以上に「ほんとう」に—なっていく不思議を、今、味わっている最中です。